どうも、なぎです!
僕のようなFTMの場合、自分自身では男性ホルモンを多く分泌することはできませんので、治療の一部として男性ホルモンを定期的に注射しなければなりません。
“なぎ”
また、人生において長い期間付き合っていく男性ホルモンですので、それを投与するとどのような効果があるのか、どんな種類があるのか、などを知っておくに越したことはありませんよね。
ということで、今回の記事では、性同一性障害(FTM)の人が男性ホルモンを投与することの意味と効果についてと、その男性ホルモンの種類について、詳しく解説していきたいと思います。
元に戻らないことを理解した上で、「FTMとして男性ホルモンを投与することの意味と重大さ」を、この記事を読んで、少しでも感じていただけたら幸いです!
ホルモン治療の基本的な知識
FTMが男性ホルモンを投与する場合、そのほとんどが注射での投与になります。
注射をする場所については、男性ホルモンの種類によって異なりますが、基本的には「腕(肩寄りの筋肉部分)」か「お尻」にすることが多いです。
“なぎ”
筋肉注射になりますので、僕は腕に注射をするときは少しだけ痛みを伴うことがあるのですが、お尻に注射をする場合はあまり痛みを感じないようです。(これも男性ホルモンの種類にもよりますが)
また、定期的に注射を打つ必要があるわけですが、毎回同じ場所に注射をしてしまうと、その場所にしこりができたり、皮膚が固くなってしまうことがあるみたいです。
“なぎ”
その時は少し固くなっただけだったので、お医者さんと看護師さんと相談した結果そのまま様子を見ることになりましたが、その後も左腕に打ち続けて悪化はしていませんし、特に変化はありません。
お医者さんも「皮膚が固くなっちゃうのは個人差がある」と仰っていたので、そこらへんは人それぞれなのかなと思います。
心配な方や、もし皮膚に影響があったという方は、毎回特定の腕に注射するのではなく、左右を変えて注射をするようにすれば、対策としては十分だと思いますよ!(担当医の方にそう言われました!)
投与による嬉しい効果
男性ホルモンを投与することによって、僕のようなFTMにとっては非常に嬉しい変化が体に起こりますので、それを僕の実体験をもとにご紹介します。
“なぎ”
生理が来なくなる
男性ホルモンを投与することによって、毎月の生理がこなくなります。
FTMからすると、毎月やってくる生理というのは非常に大きな精神的苦痛になりますので、この効果は嬉しい限りですよね。
僕の場合は、最初の男性ホルモン注射を打ってから約2ヶ月ほどで完全にストップしましたが、男性ホルモンの注射を2ヶ月くらい打っていなかったら、またくるようになりました。
“なぎ”
体毛が濃くなる
これは人によって嬉しくはないのかもしれません。(笑)
男性ホルモンを投与すると体毛(すね毛や腕の毛、ヒゲなど)が濃くなります。
僕の場合、すね毛や腕の毛はすぐに濃くなったのですが、ヒゲだけはなかなか生えてこなくて、3年ほど経ってからようやく太いヒゲがちらほら生えるようになりました。
ホルモン治療開始から5年経過した今でも、ヒゲの生え方だけには変化があります。
“なぎ”
声が低くなる
男性ホルモンを投与すると、思春期の男の子と同じように声変わりをしますので、声が低くなります。
“なぎ”
ですが、どれくらいで声変わりが完了して声が安定するようになるのかは、人によって異なります。
僕はホルモン注射を打ったり打たなかったりした時期が声変わりが始まった頃にあって、ちゃんと定期的に打てていなかったので、声が安定するまでは結構な時間がかかりました。1年くらいかかったかもしれません…(笑)
また、声変わりをすることで、今まで付き合ってきた声ではない声になるので、慣れるまでは自分自身の声というのがわからなくなります。
“ねこさん”
僕もそうだったのですが、自分の声がわからなくなってしまうことで声が小さくなってしまったり、今まで通り歌を歌えなくなったり、何らかの理由で落ち込むことがあるかもしれません。
ですが、いつか慣れて自分の声がわかるようになりますので、焦らず、自分らしくいてくださいね!
筋肉がつきやすくなる
男性ホルモンを投与する前とは比較にならないくらい、筋肉がつきやすくなります。
また、筋肉がきちんと肥大するようになるので、女性らしい細い筋肉ではなく、男性らしい太い筋肉がつくようになります。
“なぎ”
胸が小さくなる
男性ホルモンを投与すると、乳腺がしぼんで胸が小さくなります。
“なぎ”
ですが、どれくらい小さくなるのかというのは個人差があります。
例えば、僕の知り合いのFTMくんは元々Dカップあったのですが、男性ホルモン注射を2年してもほとんど小さくならなかったということを言っていました。
そのFTMくんはそのままの状態で胸オペをしていたので、傷跡は結構大きく残ってしまったみたいです。
投与による副作用
男性ホルモンを投与することで嬉しい効果がある反面、本来は自分で分泌できないものを体に投与するわけですので、当然それなりの副作用というのも存在します。
“なぎ”
- 心不全や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高くなる
- 多血症など、肝機能に支障をきたす場合がある
- 血清コレステロール値の上昇に伴い体重が大幅に増加する場合がある
- 気持ちの浮き沈みが激しくなり情緒が不安定になる
自分で男性ホルモンが多く作れないFTMにとっては、男性ホルモンの投与は欠かせませんし、副作用があるからといって止められるものでもありません。
ですが、だからこそこういった副作用があるということを知って、きちんと理解をすることが大切になってくるのです。
副作用があるということを知ってそれらを理解しておくことができれば、定期的な検査の大切さもわかりますし、生活習慣への配慮もできるようになります。
つまり、副作用への対策ができるようになるのです。
これからの人生で長く続いていく男性ホルモンの投与という治療だからこそ、良い面も悪い面もしっかりと理解して、うまく付き合っていくことが大切になってくるのです。
男性ホルモン注射による変化や副作用については以下の記事でも書かせていただいてますので、もっと詳しく知りたい!興味がある!という方は、ぜひコチラもご覧ください^^


男性ホルモンの種類
FTMの治療で投与される男性ホルモンは、主に2種類です。
- エナルモンデポー
- ネビド
どちらも同じ男性ホルモンにはなりますが、投与する間隔や効果、費用など、異なる特徴がありますので、それぞれご紹介させていただきます!
“なぎ”
エナルモンデポー
エナルモンデポーは、通常、男性の更年期障害やLOH症候群などの治療に使われている男性ホルモンで、注射をする場所は「腕」か「お尻」のどちらかになります。
LOH症候群について知りたい方は、以下のサイトが参考になるかと思います!
参考 加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群さくまクリニック
男性ホルモンの分泌に大きく影響しているのは精巣ですので、エナルモンデポーの注射を行っているのは、ほとんどの場合「泌尿器科」になります。
“なぎ”
また、僕が通っている病院でもそうなのですが、ほとんどの病院で、注射するエナルモンデポーの投与量は「125mg」と「250mg」のどちらか希望する方を、自分で選ぶことができます。
僕は、ホルモン注射を始めた当初は情緒への副作用が怖かったので、エナルモンデポー125mgを1週間半に1回くらいのペースで打っていました。
ある理由で頻繁に通うことができなってしまったので、現在はエナルモンデポー250mgの注射を2〜3週間に1回くらいのペースで打っていますが、情緒が不安定になりやすくなったなどの副作用を感じることは、今のところありません。
ですが、3週間以上間隔が空いてしまうと、やはりイライラしやすくなったり、全てのことに対してやる気がなくなって虚脱感を感じたり、いわゆる「ホル切れ」は起こしてしまいます。
ちなみに、エナルモンデポー250mgの値段は1900円くらいです。
“なぎ”
- 費用が比較的安い
- 多くの病院で取り扱っている
- 投与後に男性ホルモン値が急上昇する
- 比較的短いスパンで投与する必要がある
- 男性ホルモン値が安定しないので、感情の起伏も激しくなる
エナルモンデポーのメリットとしては、やはり費用が比較的安いことと、多くの病院で取り扱っているので、どの場所に住んでいても通院がしやすいということがあります。
また、エナルモンデポーを投与した後の男性ホルモン値は、以下のような感じになります。
“なぎ”
男性ホルモン値が急上昇するのはいいのですが、再度エナルモンデポーを注射する時には男性ホルモン値は急降下して低くなっています。
そのため、先ほど申し上げたような「ホル切れ」を起こしてしまうわけです。
また、ホル切れだけでなく、エナルモンデポーでは男性ホルモンの値が安定しないのでそれだけ情緒も安定せず、精神的な不調や体調不良などの副作用を感じる人が多くいらっしゃいます。
“ねこさん”
幸運なことに、僕はエナルモンデポーによるこういった副作用というのはあまり感じない体質だったので大丈夫ですが、人によっては体質的に合わないこともあるみたいです。
僕の知り合いのFTMの子も、エナルモンデポーの副作用で情緒不安定になってしまい、家族や親友との関係を一時は断絶し、恋人とも別れてしまうほどの状況になっていました。
“なぎ”
心や体に不調を感じた場合には、その旨を担当のお医者さんや看護師さんに必ず伝えるようにしてください。
違う種類の男性ホルモン注射を紹介してくれたり、錠剤での投与などを提案してくれるはずです!
ネビド
ネビドは、まだ日本では認可されていない男性ホルモンなのですが、海外ではすでに認可されて使用もされているので、安全性には問題ありません。(注射する場所は「お尻」です)
“なぎ”
僕は5年間ずっとエナルモンデポーを注射してきていますので、ネビドは体験したことがないのですが、最近ではエナルモンデポーからネビドに変える方も増えてきています。
エナルモンデポーからネビド変えるということは「ネビドの方により魅力を感じるから」変えるのだと思うのですが、ではその魅力とは一体何なのでしょうか。掘り下げてみましょう!
ネビドの特徴を以下にまとめたので、コチラをご覧ください!
- 3ヶ月に1度の注射で済むので頻繁に通院する必要がない
- 男性ホルモン値がゆるやかに上昇し、安定する
- 男性ホルモン値が安定しているので、情緒も安定する
- 体調への副作用が比較的少ない
- 費用が比較的高い
- エナルモンデポーよりも注射が痛い
ネビドを注射した場合の男性ホルモン値は、以下のような感じになります。
男性ホルモン値が緩やかに上昇してその後は安定しているのがわかりますが、男性ホルモン値が安定していることで、イライラするなどの情緒が不安定になることが少なくなります。
“ねこさん”
僕の知り合いも最近エナルモンデポーからネビドに変えたのですが、「気持ちの浮き沈みが本当に減ったし、睡眠欲も食欲も安定してる。精神的にめちゃくちゃ楽になった」と言っていました。
さらに、ネビドは男性ホルモン値が長い期間継続して安定するので、エナルモンデポーの数週間に1度というような短いスパンではなく、3ヶ月に1度の注射で済みます。
“なぎ”
僕も2〜3週間に1度ホルモン注射をするために通院していますが、病院の診察時間や休診日があると予定を組む時に意外と悩まされているので、通院が3ヶ月に1度でいいというのはすごく魅力を感じます。
そんなネビドのデメリットは一点だけです。価格がややお高めなんです。
相場としては1回あたり20,000円〜30,000円なので、1回2000円未満のエナルモンデポーと比べてしまうと、やっぱり少し高いな〜と思いますよね。
ネビドとは、場合によっては3ヶ月で1万円以上の差が出ます。
ですが、病院まで行く交通費や手間などを考えると、ボク個人としてはこの価格差はあまり気にならないかなあ、という印象です。
何より体調への副作用が少ないというのは非常に大きなメリットだと思います。長く付き合っていく男性ホルモン注射だからこそ。
現在エナルモンデポーを注射していて心身の調子が優れないという人は、その改善策として、男性ホルモンをネビドへ変更することを考えてみるのもいいかもしれません。
“なぎ”
まとめ
エナルモンデポーとネビドを比較してみました。
価格 | 注射の間隔 | 注射の傷み | 副作用 | 取り扱い病院 | |
エナルモンデポー | 2000円未満 | 数週間に1度 | 痛くない | やや多い | 多い |
ネビド | 2万円〜3万円 | 3ヶ月に1度 | 痛い | 少ない | 少ない |
男性ホルモンは、人によっては体質が合わないこともありますので、一概に僕が「これがオススメです!」みたいなことは言えません。
ですが、「どの男性ホルモンを投与したらいいかわからない!」という方や、「今の男性ホルモンでは体調が優れない」という方にとって、今回お話したことが少しでも役に立っていればとても嬉しいです。
また、冒頭でも少しお話しましたが、男性ホルモンの投与によって起きた体の変化というのは、完全に元の状態に戻ることはありません。
一度声変わりをしてしまったら元の声に戻すことはできませんし、体毛に関しても元に戻すことはできません。
自分自身が後で後悔しないためにも、これから男性ホルモンの投与(注射)を始めようと考えている方は、今一度「本当にこの治療が必要なのかどうか」を真剣に考えてみてくださいね!
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